HAD8.3をアップしました。
今回も盛りだくさんなバージョンアップとなりました。
昨今は統計分析はRに移行しつつありますが、ネットの片隅でExcelへの愛を叫んでいます。
今回は以下のような機能が増えています。
・階層的重回帰分析
今回の目玉商品です。
ステップごとに説明変数を増やしていって、説明率の増加量を検定する回帰分析です。
よく使うのは統制変数を先に入れておいて、その後研究目的となる変数が有意に説明力を持つのかを検討したりします。
また、交互作用項を投入して単純主効果の検定を行うことができます。ただし単純主効果は3要因交互作用までしかみることができません。
さらに、通常の統計パッケージではできない、参加者内間混合計画の重回帰分析を実行できます。いわゆる、参加者内間分散分析の重回帰版です。言ってしまえば階層線形モデル(HLM)みたいなものです。
ただ、ランダム係数を仮定していないので、交互作用の検討もただの参加者内間の交互作用です。でも実際はそういうほうが受容はあるんではないかなと思ったりしています。
・マルチレベル回帰分析
HLMみたいなことができます。厳密にはHLMではありませんが、近い推定値を得ることができます。
HLMを実行する前の予備的な分析に使ってもらえればいいかと思います。
ただ、レベル間交互作用は検討できません。主効果のみ検討できます。
・信頼性分析に最尤法を採用
因子分析部分を今までは反復主因子法を使っていたのですが、最尤法に変えました。
ただ僕の数学的能力の限界により、非常に効率の悪い方法を使っています。推定値はほぼSPSSなどと一致します。
これにより、尺度不変な因子構造を得ることができます。
次のバージョンアップでは、因子分析が普通にできるようにしたいと思います。平行分析とかを入れる予定。
階層的重回帰分析は、別にマルチレベル分析でもなんでもないんですが、これはこれで便利です。
これについては何度もSPSSと結果を比較しているので、そのまま報告してもらって大丈夫だと思います。
モデル自体はとても単純なんで。
あと、機能が増えてきたのでユーザーズガイドを作りました。
今まで使ってきた人はもちろん、これから使う人は参考にどうぞ。
日本に帰ったら、HADに関係する統計手法について何かまとめたものを書きたいですね。
HAD8.3とユーザーズガイド
(ダウンロードページに飛びます)
今回のバージョンアップの詳細は「続き」を参照してください。
今回のバージョンアップの目玉は、回帰分析ができるようになったことです。
これまでは変数の数を指定して分析していたのですが、今回はモデリングシートというのを追加しました。
こんなんです。
ここに目的変数と説明変数を指定します。
一応、主効果を投入するボタンと交互作用項を投入するボタンがあるので、それを参考に適宜修正してください。
交互作用項は「変数名1*変数名2」という感じで交互作用を見たい変数の間にアスタリスクを入れてください。
あと、Step2以降は、それまでに入れた変数もすべて書く必要があります。若干面倒ですが、そういう仕様です。
こんな感じです。
モデルのセットができたら、「起動」ボタンを押して回帰分析をチェックして「OK」です。
各ステップについて別のシートで結果が出ます。また、R2の変化量についても検定できます。
モデリングシートの最後に単純主効果のための群分け変数を指定できます。
群分け変数は、2要因交互作用の単純主効果を検定する場合は一つ、3要因の場合は2つ指定します。
単純主効果については、グラフも出力されます。
群分け変数が2値データ(1と2で男女を区別してるなど)の場合、「2値変数をカテゴリーデータとして扱う」をチェックしてください。このチェックを入れると、2値データはSDではなくてそれぞれの値で群わけを行います。また、アンバランスドデータの場合はタイプⅢ平方和を用いて交互作用を検定します。
あと細かいですが、カテゴリカルにしてした場合、折れ線ではなくて棒グラフになります。
マルチレベル回帰分析も基本的な設定は同じですが、交互作用を見ることができません。
あとR2の変化量の検定もできません。どうしても実行したい場合は、普通の回帰分析にグループ平均とセンタリングした変数を投入して実行してください。
もし使い方や結果の解釈の仕方がわからない場合は、気軽に清水までメールください。