研究テーマ

 

ここでは清水の研究テーマ,関心などについて紹介します。

 

現在進行中のプロジェクト

分配の正義についての数理社会心理学的アプローチ

「規範の伝搬」による当為的信念の形成についての研究

 

現在興味ある研究テーマ

・「分配の正義」の選好メカニズムについての研究:
人々は、自分が関わっていない場合でも、不平等な分配を避ける傾向があります。それはなぜでしょうか。もともと不平等を避ける傾向が、第三者の立場における判断にも影響しているのか、それともそもそも不平等を避ける傾向自体が、ある種の規範的な信念として存在しているのか。これらの問題について、数理統計モデリングの観点からアプローチしています。

・社会規範や道徳の起源についての研究:
人々は,いかにして「~すべき」という当為的な信念を形成しているのでしょうか。人々はどのようにしてルールを作るのか,そして,人々に共有されている道徳は どのようにして形成されてきたのか。これらの問題について,ゲーム理論や制度分析などを手がかりに理論的に考察しています。このテーマについての理論的な草案についてはこちらの紀要を参照してみてください。

・友人関係における間接的要求の文化差の研究(共同研究):
日本人は,友人に サポートを求めるときに,直接的に頼まず,遠回しな言い方で頼むことが多いことが知られています(今お金ないんだよねーなど)。しかし,これは文化普遍的な傾向ではなく,欧米 文化ではあまり利用されないようです。なぜ日本人はそういうものの頼み方をするのか,その文化差について検討しています。

 

昔研究していたテーマ(今も関心はあります)

・親密な対人関係における非互恵的利他性の信念の研究(博士論文):
親密な対人関係(恋愛や友人)では、互恵的に利他行動をしている一方、「見返りを求めずに相手を助けること」をよしとする倫理的・規範的信念が存在します。この「非 互恵的利他性」の信念はどのようにして成立するのだろうか? この問題について、ペアデータを用いた実証研究を用いた研究を行っていました。今でも,ほそぼそとデータを取りながら検討中。

・恋愛関係における社会的相互作用と関係安定性(修士論文):
恋愛関係は友人関係よりも壊れやすい性質があります。そして,多くの人は恋愛パートナーと長く安定した関係を構築したいと思っています。そこで,カップルがどのような相互作用をすれば関係を安定させることができるのかについて研究していました。ペアデータを収集してマルチレベル分析を適用する,というのがこの研究の特色でもありました。

 

方法論などについての関心

・統計ソフトウェアHADの開発:
心理統計分析が可能なExcelで動くソフトウェアを開発しています。心理学者が使うほとんどの分析が可能です。HADについてはこちらの記事に詳しいです。

・マルチレベルモデル(心理統計学):
社会心理学、グループダイナミックスでは、 個人・集団という階層性を持ったデータを扱うことが多いです。そこで、近年注目されているHLMやマルチレベル分析をはじめとした階層的データ解析の手法について、勉強中です。機会があればマルチレベル分析普及(?)のために講師活動も行っています。また,最近「個人と集団のマルチレベル分析」を出版しました。

・統計モデリング
数理モデルと実証研究を結ぶ方法論として、統計モデリングが注目を集めています。作ったモデルのパラメータを推定するのには、ベイズ推定が便利です。推定にはStanを使っています。

その他,研究生活についての記事はこちらを参照してください。