HAD8.4をアップ(媒介分析を実装)

HA8.4をアップしました。
今回のバージョンアップは媒介分析をできるようにした、というものです。
HAD8から実装している回帰分析オプションを使って、媒介分析を実行します。
できることは以下の点です。
1.媒介分析の各効果の出力(Baron & Kenny, 1986)
2.間接効果の検定(Sobel testなど)
3.ブートストラップ信頼区間の推定
分析で使ってるのはただの回帰分析なので、SEMの結果とは若干違うところがあります。
ただ、ほとんど同じ結果になります。
媒介分析については、こちらの記事を参照してください。
HADのダウンロードはこちらから
詳細は続きを参照ください。


分析方法はBaron & Kennyと同じです。
媒介モデルY←M←Xについて、
1.Y←Xを計算
2.M←Xを計算
3.Y←M Xを計算
4.間接効果Y←M←Xを計算
という流れです。
間接効果の検定は、Sobelの方法とAroianの方法を出力します。
Sobelの方法は1次までの近似で、Aroianは2次まで近似します。
当然後者のほうが正確ですが、ほぼ変わりません。
なお、Baron & Kenny(1986)でSobel testと呼んでいるのは、実は後者のほうだったりします。
あと、HAD8.4ではブートストラップ標準誤差による検定も行います。
ただし、これらの検定方法は間接効果が正規分布するという仮定に基づいています。
そして、間接効果は二つの係数の積で求まるパラメータなので、一般に正規分布しないことが知られています。なので、大標本でなければ不適切な結果を報告してしまうわけです。
そこで、ブートストラップ信頼区間を用いて検定する方法があります。
ブートストラップ法とは、手元のデータから「復元抽出」によっていくつも係数を推定して、係数の標準誤差や分布をシミュレーションによって推定する方法です。ブートストラップ法を用いると、間接効果のように分布が正規分布にならないパラメータの有意性検定を行うことができます。一般に、95%信頼区間に0が含まれるか否かを検討します。
HAD8.4では、Bias-Corrected Bootstrapping Percentile法(Efron &
Tibshirani, 1993)によって信頼区間を求めています。ただ、歪度の補正はしていません。99%、95%、90%の信頼区間を出力していますので、1%、5%、10%の危険率における有意性を検定できます。
ブートストラップ法の標本数はデフォルトで1000にしていますが、200~50000の範囲でかえるとができます。データ数が少ない場合はブートストラップ標本数を増やしたほうがいいでしょう。
また、乱数の種は固定しています(毎回結果が変わるのがややこしいので)。ランダムにしたい場合はデータ入力オプションの「ランダイマイズ」をチェックしてください。
HADでのやり方
回帰分析と同じやり方ですが、以下の点に注意してください。
1.3変数の媒介モデルしか検討できません(従属変数(Y)、媒介変数(M)、説明変数(X)の3つ)。
 説明変数を3つ以上を投入しても、最初の2つ(MとX)しか読み込みません。回帰モデルで最初に投入した説明変数がM、二つ目がXになります。
2.交互作用項は今のところ投入できません。
 交互作用項(*がついた変数)があった場合、エラーになります。
3.ステップにわけた階層的重回帰と併用はできません。
 Step1だけ読み込みます。Step2以降は無視します。
出力は"Medi"という名前のシートで行います。
やり方は以上です。媒介分析についての質問、HADの使い方については清水までメールください。
では。

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