言語学的思考へ

ちょっと前に買った本。
竹田先生の本は読みやすいなぁと思って買ったんだけど、読みやすいとかそういう話じゃなくて、普通にすごい本でした。
ポストモダン思想は、結局、厳密認識の不可能性(認識の謎)を避けるために、言語的展開によって「言語の謎」という袋小路に行き着いてしまった。それは、これまでの思想が原理的思考に基づく哲学をしてこなかったからだ、著者は主張する。
そこから、現象学による原理的思考から、言語の謎といったポストモダン思想の問題を無化していき、本質的な問題は、確信の了解にあることを指摘する。

言語的思考へ- 脱構築と現象学 言語的思考へ- 脱構築と現象学
竹田 青嗣 (2001/12/15)
径書房

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この本を読むメリットはいくつかある。こんな人にオススメ。
1.哲学の入門書はある程度読んだけど、自分の理解があってるかわからない人。
まぁ、僕のことですが(汗)。現象学やポストモダン思想、特にデリダの思想について、本当にわかりやすく書かれているので、そういう意味で哲学の入門書として有効である。ただ、ここで書かれているデリダの解釈は、他の入門書で書かれているものとは、視点が異なっている。ので、これだけで読むのではなくて、比較することで、現代思想がどういう位置づけにあるのかを知るのに役立つ。
2.ポストモダン思想の閉塞感に穴を開けたい人へ。
言語哲学やデリダのような徹底した「否定的」哲学に閉塞感を感じている人。「まぁ、言ってる事はわかるけど、結局どうすりゃいいかわかんないじゃないか!」なんて思っている科学をやってる人。そんな人には、ちょっと勇気が出るかもしれない本だと思う。
3.現代思想の不毛な論理対決、信念対立に飽き飽きした人へ。
現象学的原理的思考による考察は、信念対立の構造そのものを浮かび上がらせてくれる。これまでの哲学の議論の多くは、そのことに自覚的でなかったことによる不毛な二項対立だというのが筆者の主張。その点は確かにそうだなぁと思わされる。そういうことに興味がある人へ。
いろいろ書いたけど、何はともあれ、オススメです。

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