ブルデューを読もう読もうと思って、早1年がたちました。
なんだかんだと踏み切れず、今日たまたま本屋さんで見つけたこの本を読んで見ました。
差異と欲望―ブルデュー『ディスタンクシオン』を読む (1993/11) 石井 洋二郎 |
この本は、ブルデューの「ディスタンクシオン」の解説書です。
まぁぶっちゃけ原著も訳本も読んだことないので、この本の解説書としての評価は難しいわけですが、解説書の目的のひとつである「わかりやすい」という点はクリアしてるんじゃないでしょうか。
社会関係資本論を勉強していると必ずブルデューが出てくるので、なんだろうなと思い続けていたので、いい感じに解消できました。もちろん、解説書だけで満足したらダメなんでしょうけど。「わかった気になる」という意味では、十分にその役目は果たしてるんじゃないでしょうか。
ずっとブルデューの「ハビトゥス」という概念がなんなのかわからなかったわけですが、これを読んでだいたい見当がつきました。いうなれば、個人が持つ慣習や趣味、嗜好といったあらゆる社会生活に関連する志向性といった感じなのでしょうか。かなり誤解を恐れずにいうなれば、社会的な意味での欲望体系といったらいいのかな?ああ、ブルデュー研究者に怒られそうですが。
この「社会的な意味での」というのがミソで、これによってある階層において共有されるハビトゥスという言い方ができるわけだ。つまり、社会階層を、個人レベルと社会レベルの両方で考察するための思考装置として非常に上手く作られた概念である、といえそう。そういう意味では、社会心理学でもっと注目されてもよさそうなのに。まぁ、描き方は完全に社会学的なんだけども。
あと、ブルデュー理論において軸となる文化資本や社会空間という概念装置の意味、そしてそれらの関連、また社会学における機能などについて、いろいろ理解できました。ただ、資本といったとき、それが結局何なのかについては言及が避けられてましたね。なんなんでしょうね、資本って。
人や生物体にとって何かいいものとなる元手、ていう程度でしか考えられてないような気がする。何かいいものってなんだよ。
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