文化と実践

忘れた頃にやってくる、本の紹介。
今回は久しぶりに社会心理学の本です。

文化と実践―心の本質的社会性を問う 文化と実践―心の本質的社会性を問う
(2010/01/05)
石黒 広昭亀田 達也

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北大の文化についての研究をまとめつつ、それを批判的に議論している本です。
山岸先生、石井先生、石黒先生が話題提供し、それを佐伯先生、亀田先生、北山先生が指定討論といった感じ。
各先生の立場がよくわかるので、なかなか楽しいです。
それぞれの先生のメタ理論がまったく違うので、同じ「文化」を見ていても、やっぱり主張がぜんぜん違う。
そして、指定討論側の先生もマイルドに書いてはいるが、かなり本質的な批判(否定ではない)を行っているので、非常に読み応えがあります。ざっとしか見てないのでもっとじっくり読み直そうと思っているぐらいです。ただ、完全に的を得ていない批判や、ちょっと奥歯に何かがはさまったような書き方をしているところもあったのが残念。
少なくとも、適応論についての批判はミスリードしてるんじゃないかと思います。
最近実は、関学と京大関係の人で「文化心理学」の研究会を定期的にやっていました。その成果もあって、かなり文化心理学や比較文化心理学の知識を吸収することができました。なので、ここでの議論はかなりフォローできていて、ちょうど議論しまくっていた内容のところもあったので、僕的にはホットでした。でも逆に、新しい議論はなかったかなーという残念な部分もありますが。
と、いろいろ思いつつも最近の社会心理学の本の中では、飛びぬけて議論濃度が高いです。よく読むとかなり疲れますが、こういう議論や実証データのレベルの高さは憧れますね。
文化心理に興味がない人でも、一読の価値はあると思います。

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2 thoughts on “文化と実践

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