HAD10をアップしました。久々のメジャーアップデートです。
こちらからダウンロードできます。
今回のバージョンアップでは,お待ちかね(?),階層線形モデル(HLM)ができるようになりました。
ver10での変更点は以下です。
- 階層線形モデルができるようになった。
- 一般化線形モデルができるようになった。
- 分析ボタンに簡易モードと詳細モードをつけた。
- その他,ver9にあった不具合を修正した。
1.については,そのままの通り,階層線形モデル(HLM) ができるようになりました。
推定方法は,今のところ最尤法だけで制限付き最尤法は選択できません。ただ実用上は問題ないと思います。
SPSSと比べてのメリットは,
- 分散成分の検定法がより正確な方法を用いていること
- ロバスト標準誤差を出力すること
- 自動的に中心化する機能があること
- 交互作用があった場合,単純効果検定ができること
- 媒介分析ができること
などが挙げられます。
HLM7と比較した場合でも,下二つはHADでしかできません。
デメリットは,制限付き最尤法が選択できないこと,計算速度が遅いことなどが挙げられます。
2.の一般化線形モデルは,従属変数が正規分布でなかったり,カテゴリカル変数だったり,する場合に適切に解析できる方法です。
分析できる従属変数のタイプは,以下の通りです。
- 順序データ:順序性のあるカテゴリカルデータの場合に選択します。ロジットリンクとプロビットリンクを選べます
- カウントデータ:回数を数えたデータなどの場合に選択します。いわゆるポアソン回帰分析ができます。分布はポアソン分布のほかに,負の二項分布,一般化ポアソン分布が選べます。
- 打ち切りデータ:床効果・天井効果があるデータの場合に選択します。いわゆるトービット回帰ができます。打ち切りは下側(床効果),上側(天井効果),両側が選べます。
- 名義データ:名義変数の場合に選択します。リンク関数はロジットです。
HADでは,これらすべてのタイプの分析でロバスト標準誤差を出力できます。
ロバスト標準誤差を使うと,モデルの仮定が逸脱している場合でも妥当な検定を行うことができます。
また,名義データ以外の場合に媒介分析が実行できます。さらに交互作用と単純効果検定が実行できます。
3.は,「分析」ボタンを押した場合に,使用頻度の高い分析法だけを表示する「簡易」モードを表示するようにしました。
従来通りの画面は,「詳細モード」のボタンを押すと表示できます。
4.については大きな修正はありませんでしたが,いくつか細かいバグを直しました。
HLMの実行方法については,後日アップしますので,そちらを参照してください。