さて、東京に出張に行ったとき、新幹線で読んだ本です。
これもまた、北海道に行ってしまう先輩からの紹介です。ハズレがないですな。
今回は心理学の本です。
マインド・タイム 脳と意識の時間 (2005/07/28) ベンジャミン・リベット |
タイトルは、ある行為を意図する前(400ミリ秒前)にすでに脳は活動を始めている、という意味でつけられています。
これだけだと「だからどうした」といわれそうですが、自由意志を認める立場からすると大変な発見になるわけです。人々の意図や意思によって脳が活動するわけではなく、脳の活動によって意図や意思が立ち現れているということは、つまり、人間の自由意志が存在しないことになるのです。
リベット本人は実は自由意志を認める立場の人で、上記の発見をした後に「意識が伴う精神の場の理論」という理論を提案しています。それ自体はまだ実証されていないようですが、彼は心理学者として反証可能な「自由意志の理論」を構築することに力を注いでいます。
話としてはとてもシンプルで、主張も明解です。科学哲学や心の哲学についてもそれなりに丁寧に説明されているので、そういうのに興味がある人は読んでみてもいいかもしれません。
大発見はないけど、こういう考え方もあるのね的な本だと思います。オススメです。