因子分析の基本的な使い方は、「HADで因子分析をする方法」をご覧ください。
この記事では、因子分析をする上で便利な機能について説明します。
特に、共分散データを用いた方法について解説します。
具体的には続きを見てください。
◆共分散行列から分析する方法
モデリングシートの「データセット」ボタンを押して「データセット選択」タブをクリックすると、以下のようなウィンドウが立ち上がります(HAD12の画面です)。
ここで、「共分散データを使用する」にチェックして、OKを押せば、共分散データをHAD内部に作成します。すると、使用データの選択欄が消えて、以下のような表示になります。
この状態で因子分析ボタンを押すと、ローデータと同様の方法で因子分析を実行できます。共分散データを利用することのメリットは、
- 計算時間が短くなる
- 使う変数・使わない変数の選択が楽
- プロクラステス回転が利用できる
1.については、事前に共分散行列を計算しておくとデータの読み込みや共分散の計算時間が省略できるので、計算時間が短くなります。
2.については、変数の選択も「削除」の列のセルをクリックするだけでできますので、項目の入れ替えなどが便利になります。削除したい変数のセルをクリックすると「×」が表示されます。その項目は分析には使用されません。×を消せば,またモデルに入れることができます。尺度を作成する場合などは試行錯誤しながら分析することも多いので、この機能が活きてくると思います。
3.については、事前の仮説的な因子負荷量に最も近くなるように回転するプロクラステス回転を利用できます。
「プロクラステス回転」のチェックボックスをチェックすると、共分散データの変数一覧の横に、プロクラステス回転用の仮説因子負荷量を入力するスペースが表示されます。そこに因子負荷量を入力しておくと、その因子負荷量に最も近くなるように因子軸を回転してくれます。斜交回転を選べば斜交プロクラステス回転、直交回転を選べば直交プロクラステス回転を実行します。
では、次のような仮説因子負荷量を入力してみましょう。2因子を指定して、プロクラステス回転をチェックします。
ここでは、負荷する因子に1、負荷しない因子は空白のままにしています。空白は自動的に0として計算されます。この状態で「分析実行」を押すと、以下のような結果が出力されます。
すでに因子構造がわかってるような場合、プロクラステス回転を使うとそれを再現できるので便利です。