HADで媒介分析

HAD9.0から、媒介分析ができるようになりました。

媒介分析については、こちらの記事にまとめてあるので、そちらを参照してください。
基本的な使い方は回帰分析と同じですので、まずはHADで回帰分析をする方法を参照してください。

具体的な方法は、続きをどうぞ。


媒介分析を実行するには、まずHADのモデリングシートにある「回帰分析」ボタンを押して、回帰分析のモデリングスペースを開きます。

次に,モデリングスペース右下にある,「媒介分析」というチェックボックスをチェックしてください。

mediation_1

そして、回帰分析と同じように、目的変数を指定します。
ここで媒介モデルは、以下のようなものを想定しています。

目的変数 ⇐ 仲介変数 ⇐ 独立変数

このモデルを表現するために、説明変数のところに仲介変数を最初に、次に独立変数を指定します。図で示すと以下のような感じです。

なお、この場合、talkが仲介変数で、conが独立変数です。

mediation_2

この状態で「分析実行」ボタンを押すと、媒介分析が開始されます。

ブートストラップ推定のための標本数を多く指定していると、計算に時間がかかります。
また、パラメトリックより、ノンパラメトリック推定のほうが時間がかかります。
分析が終わると、以下のような結果が出力されます。

reg17.jpg

それぞれの回帰係数と、間接効果の検定結果が出力されます。

Sobelというのは大標本の場合に間接効果が正規分布するという仮定のもとでの検定結果です。
もしサンプルサイズが400以上あれば、Sobelの結果を参照するといいでしょう。Aroianは、Sobelより少し精度がよいです。でもほとんど変わらないと思います。

ブートストラップ信頼区間は、回帰分析の間接効果を何度も計算して、その分布から信頼区間を算出したものです。上の例では、1000回(デフォルト)回帰分析を行った結果です。95%信頼区間内に0が含まれてなければ(途中で符号が変わってなければ)、5%水準で有意であることを意味します。同様に、90%で10%水準、99%で1%水準の有意性検定が行えます。
サンプルサイズが小さい場合、ブートストラップ信頼区間のほうが正確な結果を与えます。
もし計算機のスペックに余裕があれば、10000回ぐらいブートストラップ推定をすると、より信頼性の高い結果を得られます。
気が向けば、ブートストラップサンプルの分布などをグラフにしようと思ってます。気が向けば。

気が向いたので、ブートスラップサンプルの分布をグラフ化する機能をつけました(Ver9.6以降)。
medi6.jpg

上のグラフは、N=300のサンプルサイズで媒介分析をした場合の間接効果のブートストラップ標本の分布です。正規分布に比べてやや右に傾いているのがわかると思います。サンプルサイズが小さいと、もっと顕著になります。

さらに,ver10からパス図も表示するようにしました。

 

ここで、媒介分析の拡張について触れておきます。

HADでは,一般化線形モデルや階層線形モデルでも媒介分析が行えます。
ただし,その場合はノンパラメトリック法は選べません。すべてパラメトリック法のみとなります。
方法は上と同じで,例えば階層線形モデルの場合,階層線形モデルのモデリングシートを開いたあと,「媒介分析」のチェックボックスをチェックするだけです。

なお,媒介分析とステップワイズ法は同時に実行できません。

また、共分散データを対象にすることもできます。その場合はノンパラメトリックサンプリングは使えません。パラメトリック(正規分布を仮定して乱数を発生する方法)のみ使えます。

HADで媒介分析をする方法は以上です。

HADでロジスティック回帰分析

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