久々に本の紹介。
茂木健一郎 2004
脳内現象 NHKブックス
えっとね。なんでこれ新書で書いたんだろうね。
テーマでかいよ。書くなら本気で書こうよ。
クオリアという哲学的テーマと認知心理学(あるいは神経生理学)という科学的テーマをうまくつなごう(乗り越えよう)という意欲はなんか伝わってくる。
けど、新書だもん。薄いもん。内容も薄いもん。
新書って、初心者の人が手に取ることが多いと思うのだが、この本はまったく初心者にやさしくない。なんやら認知科学の専門用語を不必要に羅列してるし、わかりやすく説明しようという気持ちが伝わらない。かといって、論拠がしっかりしているかというとそうでもない。中途半端だ。
テーマがでかいわりに、これといったデータを示すわけでもなく、これといった哲学的考察があるわけでもない(哲学者で引用してるのって、デカルトとプラトンぐらい)。論理展開も荒い。もったいないなぁ。
もし確証があるアイディアなら、もっと精緻に展開してほしかった。こんなけ軽く新書で出されると「ああ、思いつきなのね」と「誤解」しちゃうよ。誤解かどうかわからないけど。
でも、まったく面白くないわけではない。僕的に興味があったのは「時間の圧縮」という概念を持ってきてること。我々が絶え間なく変化している世界をなぜ「同一性」をもった時間がない「観念」として認識しえるのかという点にちょっと触れてたので、そこは興味がもてたかなと。
「神々の沈黙」ぐらい、「ああ、確かにそうかも!」って騙されるようなデータと論理展開があれば面白かったかもね。おしいです。