3月6日,東京大学で行われた社会心理学コロキウムで発表しました。
東大の亀田先生,唐沢先生をはじめ,山岸先生にもたくさんの有益なご指摘を頂きました。なお,この発表内容について紀要論文を書きました。4月頃に出版予定なので,またそのときにお知らせします。発表内容は,道徳の起源について理論的に考察したものです。アブストラクトは以下です。
本発表では、道徳規範がいかにして現代社会において成立しているのか、その問題について理論的に考察します。Haidt(2001;2012)は道徳基盤理論において、道徳判断が論理的というよりは直観的に行っており、またその判断の仕方が進化的な枠組みで獲得されていることを主張しています。しかし一方で,群淘汰などを安易に援用したその説明には,多くの批判があります(例えばBarash,2007)。そこで本発表では、道徳規範が個人の心の問題だけではなく、社会制度と共に進化、あるいは発展してきた立場からその起源について説明を試みます。理論的な背景として、Kelley&Thibaut(1978)の相互依存性理論を動学的に発展させたモデルと、比較制度分析などの理論枠組みを援用します。データはなく、ほとんどが机上の空論ですが、参加者のみなさまと道徳や規範について活発に議論できるネタが提供できればと思っています。厳しいご意見を期待しつつ、ご参加をお待ちしています。