HAD11.20をアップしました。HADについてはこちらの記事を参照してください。
今回のバージョンアップでは,カテゴリカル因子分析および項目反応理論ができるようになりました。因子軸の回転なども従来と同じ方法が利用できます。
カテゴリカル因子分析については,こちらの記事を参照してください。
簡単に解説すると,順序データに対して因子分析ができるようになった,ということです。2値データやあまりに天井・床効果が出ているデータでも適切に分析ができるので,便利です。
また,カテゴリカル因子分析の結果をもとに,項目反応理論の結果も出力します。ただ,項目反応理論は一因子を指定した時のみです。
項目反応理論については後日記事を描こうと思います。小杉先生のこちらの資料(PDF注意)はとても参考になります。
項目反応理論の出力例を載せておきます。
まず,テスト情報関数
次に,項目特性曲線
なお,カテゴリカル因子分析は,ポリコリック相関行列を計算して,その誤差分散を重みづけた重み付け最小二乗法で計算しています。この方法は,MplusのWLSMVとだいたい同じ推定値を与えます。ただ,少しだけ違うのは,Mplusでは重み行列が誤差分散ではなく,ちょっと違うものを使っているからです。
MplusとHADでは因子負荷量も平均すれば0.005以内の誤差ですし,因子得点もMplusとHADによる推定値の相関は0.9999ぐらいはあるので,実用上はほとんど違いはないでしょう。
また,因子得点は区分求積法を用いた期待事後分布(EAP)による推定を行っています。この方法は多因子の場合にどんどんかかる時間が増えていきます。このあたりはまだ改良の余地ありです。