今年の9月に行われたグループ・ダイナミックス学会で,優秀発表賞を頂きました。
とはいえ,僕は2ndで,1stは共同研究者の平川真君(広大教育PD)です。受賞した発表のタイトルは以下です。
平川真・清水裕士・鬼頭美江 (2014).
友人査定戦略としての間接的要求(2) ~関係流動性の調整効果~
日本グループ・ダイナミックス学会第61回大会発表論文集, 64-65.
我々はいままで,日本で多用される間接的要求の機能について検討してきました。間接的要求とは,遠回しに頼み事をすることです(引っ越しの準備,大変なんだよね―と言って引っ越しを手伝ってもらうことを頼む,など)。間接的要求は,あまり北米の人は使用しません。また,もともと間接的に頼むのは効率が良くないのに,どうしてそんな言い方をするのか?,が問題意識でした。
そこで間接的要求が,友人関係の選択の自由度が低い環境において,信頼できる友人を見つけるために機能するのではないか,という仮説にたどり着きました(友人査定仮説)。詳しいロジックは省略しますが,直接的に頼まずにほのめかすことによって,それに応えてくれる人は,自分を大切に思ってくれている人であることを知ることができる,という感じです。
今回の発表では,その仮説を関係流動性尺度を用いて,日本文化内のサンプルを対象に検討しました。結果,間接的要求は,友人関係の選択の自由度が低い関係で,かつ,親友ではなく知り合いに対してのみ行われている可能性が示唆されました。
間接的要求の研究は,平川くんが修士の時からずっと研究しているテーマで,僕はそこに乗っかっただけなので,栄光浴に浸っています(笑)。
今,アメリカとの比較データを収集準備中です。来年の学会でまた結果を報告したいと思います。