HAD9.10をアップ

HAD9.10をアップしました。
すでにHAD9βをアップしていましたが、今回は正式版です。すでに9.1となっているのは、機能が一つ増えたからです。
  HADのダウンロードはこちらのページを参照
・HAD9.1で増えた機能
分散分析ができるようになりました。
5要因までの参加者間・内の混合計画の分散分析ができます。
分散分析について、以下の検定や分析が可能です。
1.単純主効果・単純交互作用効果の検定
 スライス変数を指定すれば、単純効果の検定ができます。5要因までなので、4要因までのスライス変数を指定できます。
 (つまり、単純・単純・単純・単純主効果まで見れます)
 単純主効果の検定では、プールされた誤差項と水準別誤差項の2種類の方法がありますが、HADでは両方を選択できます。
  プールされた誤差項:各水準をプールした誤差項を使う →検出力が高いが、誤差分散が水準で異なっていると不適
  水準別誤差項:各水準ごとの誤差項を計算して検定します。自由度は各水準の自由度しか使えないので検出力は低いです。
2.球面性の検定と自由度補正
 参加者内要因がモデルに含まれている場合、各水準ごとの誤差分散・誤差共分散の構造が問題となってきます。
 簡単にいえば、分散分析は「各水準間の差の分散がすべて等しい」という仮定を置いていますが、これが満たされない場合、F分布がゆがむことが知られています。このチェックをするのが球面性の検定です。
 球面性が満たされていない場合、自由度の補正を行うのが一般的です。HADでは、H-FとG-Gと下限(SPSSと同じ)を選択できます。
 ただし、多標本球面性の検定は行いません。
3.多重比較
 心理学では、3水準以上の要因の主効果や単純主効果が有意な場合、多重比較を行うのが一般的です。
 HADでは修正Bonferroniの方法を用いて多重比較を行います。
 よく使われているHSDを使わないのは、参加者内計画では利用できない方法だからです。内・間両方で使えるのはRyan法か以下に述べる修正Bonferroni法だけなので、これを採用しました。
  HADで選択できるのは、Shaffer法、Holm法、Bonferroni法です。これらの方法はANOVA君でも採用されているもので、主効果との相性もよさそうなのでRyan法ではなくこちらにしました。
 これらの方法の詳細は、ANOVA君のサイトに詳しくあるので、そちらを参照してください。このページでも、後日詳細について触れる予定です。
  なお、Shaffer法は早見表(Holland & Copenhaver, 1987)を基に計算しています。なので、多重比較は最高で10水準までの要因でしか今のところ実行できません。
4.共分散分析
 調査票を用いた分析では、実験のように統制できないので、共変量を統制することが多いです。
 HADでは共変量を含めた分析ができます。また、共変量を中心化するオプションもあります。
 ただし、共変量を投入すると、計算時間が長くなります。
5.効果量
 HAD9.10現在では、偏η2を出力します。参加者内要因の場合はあまりよくないそうですが、おいおい対応します。
6.グラフの表示
 主効果・単純主効果について、それぞれ標準誤差をエラーバーとしたグラフを出力します。
 こんな感じです。
Figure4.jpg
あとは細かなオプションが増えたりしていますが、詳しくはHADマニュアルを参照してください。

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